ブルーベリーの育て方は?鉢植え・地植えの2つに分けて紹介

「ブルーベリーにはどんな種類があるの?」
「ブルーベリーを育てるのに何が必要?」
「ブルーベリーはどうやって育てるの?」
ブルーベリー栽培に興味はあっても、初めての方は育て方や必要なものなどがわからず、上記のように悩むことが多いのではないでしょうか。
ブルーベリーは、基本的なポイントを押さえれば家庭でも十分に育てることができます。限られたスペースでも可能な鉢植えや、庭で育てる地植えなど、環境に合わせた栽培方法を選べます。
そこで今回は、ブルーベリー栽培の基本となる品種の特徴や必要な道具、鉢植えと地植えそれぞれの育て方について、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を参考に、ぜひブルーベリー栽培にチャレンジしてみてください。
ブルーベリーとはどんな品種?
ブルーベリーはツツジ科スノキ属に属する果実で、その種類は大きく分けて以下の4つに分類されます。それぞれの品種には特徴があるため、栽培する地域の気候や季節に合わせて選びましょう。
- ノーザンハイブッシュ系
- サザンハイブッシュ系
- サザンハイブッシュ系
- ラビットアイ系
それぞれの品種には次のような特徴があります。
ノーザンハイブッシュ系
主に寒冷地で栽培されている品種です。夏の暑さに弱く、冷涼な気候を好みます。冬の寒い時期(休眠期)が必要なため、暖かい地域での栽培には向いていません。
果実は大きめで食べやすく、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴です。収穫時期は6月から7月で、完熟してから収穫することで甘みのある実を楽しめます。早めに収穫すると酸味が強くなるため注意が必要です。
サザンハイブッシュ系
比較的新しい品種で、主に温暖な地域での栽培に適しています。果実は甘みが強く、酸味は控えめです。収穫時期は6月から7月で、他の品種と同じ時期に収穫できます。
最近では様々な新品種が登場していますが、栽培には少し技術が必要です。家庭菜園で初めてブルーベリーを育てる場合は、まず他の品種で経験を積むことをおすすめします。
ラビットアイ系
アメリカ東南部が原産の品種で、暑さと乾燥に強い特徴があります。寒さには弱いため、寒冷地での栽培には向きません。果実は小さめですが、糖度が高く香り豊かです。生食だけでなく、ジャムなどの加工にも向いています。
収穫時期は7月から8月です。暑さに強く育てやすい品種なので、温暖な地域にお住まいの初心者の方におすすめです。果実は完熟前に赤く色づきますが、完熟してから収穫することで濃い味わいを楽しめます。
ブルーベリーの栽培カレンダー

ブルーベリーの栽培は、季節ごとに手入れが必要です。適切な時期に適切な手入れを行うことで、健康的で美味しいブルーベリーの果実を収穫できるでしょう。
ここでは、年間を通じたブルーベリーの栽培カレンダーを解説します。
1〜2月:休眠期
冬の休眠期(ブルーベリーが休んで春に備える大切な時期)は、翌年に向けた手入れをします。葉が落ちた後、古くなった枝や病気の枝を剪定ばさみで切り落とし、丈夫な枝に実がなるように整えます。この時期に堆肥を加えることもおすすめです。
休眠期には、ピートモス(水苔を固めて作られた土壌改良材で、保水性が高く酸性度を調整できる)や硫黄肥料(土壌を酸性に保つための肥料)を使って、土壌の酸度も適切に調整しましょう。冬場は水やりの回数を減らし、株の休眠を助けます。冬期の休眠中は自然の雨に任せるか、乾いたときに水やりをする程度でよいでしょう。
3〜4月:植え付けと植え替え
ブルーベリーは別品種を一緒に植えることで、果実を収穫しやすくなるメリットがあります。その際は、スペースに応じた植え付けを心がけましょう。植え付けの量が多いと、根つまりを起こすことがあるため気をつけてください。
また、植え替えも春の暖かい時期が最適です。この時期は地温が上昇し、植物の根がしっかりと土に定着しやすくなります。植え付けでも植え替えでも、水はけのよい土壌を選ぶことが欠かせません。合わせて、ピートモスや硫黄肥料を使って酸度を高めつつ堆肥を与えて、土の栄養分を高めておきましょう。
5〜6月:開花期・マルチング
この時期には、多くのブルーベリーが開花期を迎えます。定期的な水やりと、土の表面を有機物などで覆う「マルチング」を行います。マルチングとは、わらや木のチップなどで土を覆うことで、土の中の温度変化を防ぎ、水分が蒸発しにくくする方法です。
マルチングをすることで、地面の急激な温度変化や水分の蒸発を防ぎます。この時期のブルーベリーには、十分な水やりが必要です。しかし、過度な水やりによって水はけが悪くなると悪いと根腐れを起こすこともあるため、注意が必要です。
開花期には害虫が発生しやすいため、害虫対策を早めに行いましょう。ブルーベリーにはアブラムシやカイガラムシ、ミノムシによる葉の食害があります。雑草刈りや適度な剪定などを行うことで、害虫による被害を最小限に抑えられるでしょう。
7〜8月:収穫期
果実が青から紫へと色づき始めたら、収穫期のサインです。大抵は、7月から8月にかけて数回の収穫を行います。適切なタイミングで収穫できると、甘くてジューシーな実ができます。
また、収穫期も引き続き適度な水やりを行います。基本的に日中を避け、1日2回ほど土壌の様子を見ながら与えましょう。
9〜10月:植え付けと植え替え・お礼肥
ブルーベリーの植え付けと植え替えは、植物にとって優しい環境の秋に実施します。夏の過酷な暑さも和らぎ、穏やかな気温が苗木のストレスを減少させるからです。秋は過ごしやすいですが、冬の寒さは苗木にとっても大きな負担です。耐寒性を考慮した品種選びや対策を行いましょう。
寒さ対策は、株の周りを保温材で覆います。冷たい風からブルーベリーを守り、苗木がしっかり冬越しできるようにしましょう。また、収穫後に肥料を与えることを「お礼肥」と呼びます。お礼肥の後は休眠に向かうため、肥料を与えません。お礼肥でしっかり肥料を与え、来年の成長を促しましょう。
11〜12月:休眠準備
休眠準備期には、落葉を片付けて枝を剪定し、病害虫の発生を防ぎましょう。収穫後から春にかけた剪定によって、光が内部まで届いて風通しもよくなります。病気や害虫の被害を減らし、良質な実がたくさん付くことを楽しみに、根気強く剪定を行ってください。
ブルーベリーを育てるのに必要なもの
ブルーベリーを育てるためには適切な道具や資材が必要です。ここでは、ブルーベリー栽培を始めるために必要なものをご紹介します。
土
ブルーベリー栽培において最も重要なのは、酸性の土壌です。他の果物や野菜は、弱酸性からアルカリ性の土壌を好むのに対して、ブルーベリーは酸性土壌を好みます。ブルーベリーが好む酸性土壌を作るには、強い酸性成分を有する土の「ピートモス」や硫黄肥料を土壌に混ぜておきます。また、ブルーベリーの根腐れを防ぐために水はけのよい土壌も必要です。赤玉土や鹿沼土を混ぜて土壌の排水性を高めておきましょう。
また、ブルーベリーは日光を好む植物です。しっかりと日当たりが確保できる場所に植えることで、成長を促進することができます。
植木鉢やプランター
鉢植えで育てる場合、直径18〜30cmほどの植木鉢やプランターが必要です。根が広がりやすいため、十分なスペースを確保します。また、鉢底に排水穴があるかも確認しましょう。水はけをよくして根腐れを防ぐために、鉢底石や鉢底ネットも準備します。
肥料
ブルーベリー専用の肥料を使用すると、必要な栄養素をバランスよく供給できます。成長期には窒素を多く含む肥料を、果実の成長期にはリンとカリを多く含む肥料を使用しましょう。
水やりの道具
水やりの道具は栽培方法によって使い分けましょう。地植えの場合はホースがあると便利です。鉢植えの場合は、じょうろを使用して丁寧に水やりを行います。
剪定ばさみ
収穫後や冬の休眠期に行う剪定には、通常のはさみより鋭利な剪定ばさみが必要です。古い枝や病気の枝を剪定するために使います。
その他の資材
果実が重くなると枝が折れやすくなるため、支柱を立てて枝を支えます。鳥などの動物から果実を守るためには、ネットの使用がおすすめです。
また、pH測定キットで土壌のpHを定期的に測定し、酸性を保つよう管理します。酸性を保てていない場合は、ピートモスや硫黄肥料を追加しましょう。
【鉢植え編】ブルーベリーの育て方
鉢植えでブルーベリーを育てる手順は以下の通りです。
- 鉢と土を選ぶ
- 植えつけをする
- 水と肥料を与える
- 剪定する
ブルーベリーは鉢植えでも簡単に育てることができます。特にスペースが限られた庭やベランダで育てたい場合、鉢植えでの栽培は最適な方法です。
ここでは、鉢植えでのブルーベリーの育て方を解説します。
鉢と土を選ぶ
ブルーベリーを育てる鉢は、直径18〜30cmほどの鉢が適しています。鉢底に排水穴があるものを選び、底には鉢底ネットや小石を敷いて排水性を確保してください。
また、ブルーベリーは酸性土壌を好むため、ブルーベリー専用の土やピートモスを使用します。自家製の土を使う場合は、酸性度を保つためにピートモスや硫黄肥料を混ぜましょう。
植えつけをする
ブルーベリーの植え付けは品種によって異なりますが、その多くは穏やかな気温が確保できる春と秋に行います。
- 鉢の底に鉢底ネットや小石を敷きます。
- 鉢の1/3程度まで土を入れます。
- ブルーベリーの苗を中央に置き、根が広がるようにします。
- 残りの土を苗の周りに入れ、軽く押さえて固定します。
- 植え付け後、たっぷりと水を与えます。
水と肥料を与える
ブルーベリーは乾燥を嫌うため、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。特に夏場や果実が成長する時期には、水分を十分に与えましょう。ただし、過湿を避けるために、受け皿に溜まった水は捨てて構いません。
合わせて、窒素とリン酸、カリのバランスがいい肥料を与えます。肥料は薄めに調整し、過剰に肥料を与えないようにしましょう。
剪定する
休眠期には剪定を行い、古い枝や病気の枝を取り除いてください。また、鉢の表面にウッドチップやわら、ビニールなどを敷いてマルチングも行います。マルチングにより根を保護し、土壌の乾燥を防ぎましょう。
【地植え編】ブルーベリーの育て方
地植えでブルーベリーを育てるためのポイントは、以下の5つです。
- ブルーベリーを育てる場所を選ぶ
- 土壌を準備する
- 植え付けする
- 水と肥料を与える
- 剪定する
ブルーベリーを地植えで育てると、根を広く張れるため多くの果実を収穫できます。ここでは、地植えでのブルーベリーの育て方を解説します。
ブルーベリーを育てる場所を選ぶ
ブルーベリーは日光を好むため、長く日当たりが確保できる場所を選びましょう。日当たりがよいほど、果実の甘みが増します。さらに風通しのよい場所は、害虫の発生を防いでくれるでしょう。
土壌を準備する
ブルーベリーを植えるときは、ピートモスや硫黄肥料を混ぜた酸性の土を使用します。土壌の質を向上させるために、堆肥や腐葉土を混ぜて有機質を補いましょう。堆肥や腐葉土を混ぜると、排水性と保湿性も向上します。
植え付けする
ブルーベリーの植え付けは、気候のよい春と秋が最適です。根が安定しやすくなります。以下の順番で植え付けましょう。
- 植え穴を直径50cm、深さ40cmほど掘ります。
- 掘り上げた土にピートモスや堆肥を混ぜて、酸性度と栄養バランスを整えます。
- 植え穴の底に、排水性を向上させるために粗い砂や小石を敷きます。
- 準備した土を少し植え穴に戻し、中央にブルーベリーの苗を置きます。
- 根が広がるように土をかけ、軽く押さえて固定します。
- 植え付け後、たっぷりと水を与えます。
水と肥料を与える
土が乾いたら適度に水を与えます。特に果実が成長する時期には、水分を十分に与えましょう。合わせて、追肥の時期が来たら肥料を与えます。追肥は根の周りに均等に行い、水やりで肥料が浸透するようにします。
剪定する
ブルーベリーの成長に合わせて適度に枝を剪定し、形を整えます。果実の重みで枝が垂れそうなときは、支柱を立てることも検討しましょう。
ブルーベリーを有機栽培で育てるには?
ブルーベリーを有機栽培で育てることで、身体に優しい果実を収穫できます。化学肥料や農薬を使用しないため農薬残留の心配がなく、環境にも優しい栽培方法です。
有機栽培には土壌の健康を保ち、生態系を壊さないメリットもあります。化学肥料や農薬を使わないので、水質汚染や土壌劣化を防ぎ、環境への負荷を最大限に抑えつつ、身体にも優しいブルーベリーの栽培が実現できるでしょう。
有機肥料を使用すると土壌中の有機物が増え、微生物の活動が活発になります。土壌の構造も改善されるため、長期的に健康な土壌の維持が可能です。身体と環境に優しい栽培方法でブルーベリーを育てたい場合は、有機栽培をおすすめします。
まとめ
ブルーベリーは適切な栽培方法と手入れを行うことで、家庭でも育てられる果樹です。環境に応じて鉢植えか地植えを選び、甘さと酸味のバランスが良い、新鮮なブルーベリー果実を家庭でも楽しみましょう。
ぜひ、自分に合った方法でブルーベリー栽培を楽しみ、美味しい果実を収穫する喜びを味わってくださいね。

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